Index

ノンメディカルな卵子凍結とは

すべての女性は等しく加齢と共に妊娠率が低下していきます。これは、卵子の質が年齢とともに低下するためです。特に35歳以上では卵子の質の低下が顕著になり、それに伴い妊娠率も低下します。

ノンメディカルな卵子凍結とは、将来的に妊娠を望んでいるが、パートナーが居ないなどの理由で、今すぐ妊娠することができない女性の卵子を、若年のうちに凍結保存しておくことです。

卵子は、凍結保存できれば、それ以降は加齢に伴う質の低下を考慮しなくてすみます。そのため将来的に妊娠を希望された際に、凍結卵子を用いれば、妊娠率の低下を防ぐことができます。若年のうちに卵子凍結をしておくことで、女性の人生における選択の幅を広げ、生活の質(QOL:Quality of life)を向上させることを目的としています。

※日本産科婦人科学会のホームページにある、「ノンメディカルな卵子凍結をお考えの方へ」の動画をあらかじめ視聴されることを推奨します。

当院が保管先として提携している「Grace Bank」では、無料の個別相談を行なっていますので、まずは相談したいという方は是非ご活用ください。

卵子凍結における妊娠率

卵子凍結によって保存した卵子を使って妊娠・出産するためには、卵子と精子とを身体の外で受精する体外受精が必須となっています。卵子は凍結しているので、融解する必要があります。融解の過程で5~20%の割合で卵子が破損してしまうこともあります。また、融解後、精子と受精すると受精卵(胚)になりますが、その受精卵が良好胚であるとは限りません。良好胚が子宮に着床してはじめて「妊娠」となります。卵子凍結をしたからといって必ずしも期待通りの結果が得られるとは限りません。

これらを踏まえ、卵子凍結での妊娠率を見てみましょう。

凍結卵子を融解した時の卵子生存の確率

  • 融解後の卵子生存の確率・・・80~95%
  • その後、精子を注入した場合の受精率・・・60~80%

未受精卵融解後に、卵子が生存、受精し、質が良好な受精卵が確保できた場合に、卵子10個あたりで妊娠できる確率

  • 30歳以下・・・80%程度
  • 31~34歳・・・75%程度
  • 35~37歳・・・53%程度
  • 38~40歳・・・30%程度
  • 41歳以上・・・20%以下

卵子の生存率とその後の着床率を考えると、なるべく若い年齢で卵子凍結を行い、10個以上~できれば20個以上の未受精卵を凍結保存しておくことが望ましいということがわかります。
本邦における正確なデータはまだありません。採卵された卵子の質によっては凍結できない場合もありますので、あらかじめご了承ください。

卵子凍結の適応

すべての生殖可能年齢の女性に対して卵子を採取する事は可能です。
ただし、若年で行う事が将来の妊娠率の上昇へつながるため、当院では40歳未満のできるだけ若いうちに行うことが望ましいと考えます。
40歳以上でも施行はできますが、すでに加齢に伴う卵子の質の低下が危惧され、最終的な妊娠率が低下することが考えられます。

当院での卵子凍結の流れ

  • ステップ0:事前にGrace Bankの登録をお願いします。登録はこちらから。
  • ステップ1:まずは事前検査にご来院ください。
  • ステップ2:月経開始1~3日以内でご来院いただき、「排卵誘発」を開始します。
  • ステップ3:月経開始から9~11日目ごろにご来院いただき、ホルモン検査・超音波検査を実施し、採卵日を決定します。
  • ステップ4:月経開始から12~14日目ごろが採卵の時期となります。

採卵当日は、以下のような流れとなります。

  1. 排卵の有無を確認し、問題がなければ採卵手術に入ります。所用時間は約10分です。
  2. 手術後、回復室で2時間程度お休みいただきます。帰宅後はなるべく安静にお過ごしください。
    静脈麻酔を使用せず採卵した場合は、帰宅後そのままお仕事に行くことも可能です。帰宅前に採卵結果をご説明いたします。
  3. 採卵数日後に、卵巣の状態を確認し、その際に最終的な成熟卵子の凍結結果の説明と採卵費用の精算があります。

卵子の凍結保管方法

当院は凍結卵子の保管先として卵子凍結保管サービス「Grace Bank」と提携しています。
凍結卵子は長期保管が見込まれるため、医師の急病などでクリニックが閉鎖してしまった場合でも、凍結卵子はグレイスバンクで保管されているため、慌てて転院先をさがしていただく必要がありません。
また、転居に伴い当院への通院が難しい場合でも、グレイスバンクと提携している全国のクリニックへの凍結卵子の移送が可能です。
Grace Bankの利用は事前に会員登録が必要です。こちらから登録をお願いします。

卵子凍結のリスク・副作用

排卵誘発剤による副作用

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といい、腹痛や腹部の膨満感の症状があげられます。排卵誘発剤を使用して卵巣刺激を行うため、採卵後に卵巣が一時的に腫れることによる症状です。
そのため、採卵後は数日間の安静が必要となります。入院を要するような重度の副作用が発生するケースは全体の1%以下です。

採卵による副作用

下腹部の痛みや、出血などの症状が出る場合があります。採卵は基本的には安全な手技ですが、経腟超音波ガイド下にて卵巣を穿刺するため、極めてまれに腸や膀胱などの臓器損傷を起こす可能性が報告されています。
また、卵巣表面からの出血、卵巣内での感染が起こる可能性がありますが、全体の0.1%程度です。このような場合には、数日間の安静入院が必要となる場合があります。

卵子凍結の費用

卵子凍結の費用は自費診療となります。以下に税込での費用をお示しします。

姫路市在住の方であれば姫路市へ卵子凍結助成金(上限40万円)を申請できます。詳しくはこちら

卵子凍結採血セット
(感染症検査、AMH含む)
16,500円
超音波検査 2,200円
卵子凍結手技料
(局所麻酔、静脈麻酔料金を含む)
卵子0個
(卵子を一つも回収できなかった場合)
38,500円
卵子10個未満 143,000円
卵子10~14個 220,000円
卵子15個以上 286,000円

例)14個の卵子を凍結した場合
卵子凍結採血セット(16,500円) + 卵子凍結手技料(220,000円) + 初診・再診料、超音波料金、薬剤費(来院回数や卵巣刺激量に応じて変動あり)
合計:約350,000円(税込)

※卵子凍結保管料は別途Grace Bankへご自身でお支払いいただきます。

卵子凍結のよくあるご質問

  • Q: 卵子凍結をするために何回くらい通院が必要ですか?
    事前検査、排卵誘発、ホルモン検査と超音波検査、採卵の、最短4回のご来院となります。くわしくは「卵子凍結の流れ」をご覧ください。
  • Q:仕事をしながらでも卵子凍結可能ですか?
    卵子凍結をされている方の多くが仕事をされながら実施されております。詳細のスケジュールは患者様によって異なりますので、一度当院へご相談ください。
  • Q:卵子をいくつ凍結しておく必要がありますか?
    10個以上~できれば20個以上の未受精卵を凍結保存しておくことが望ましいですが、ご不安・ご質問などまずはお気軽にご受診ください。
  • Q:現在のパートナーとの妊娠を将来的に考えている場合は?
    現在のパートナーとのお子様を将来ご希望の方は、卵子凍結ではなく受精卵凍結の方が妊娠の可能性が高くなります。一度当院へご相談ください。