2022年4月以降、体外受精を含めた不妊治療の保険適応が開始となりました。

先進医療とは、有効性・安全性を一定基準満たすが、まだ保険適応の対象とならない技術や検査の総称です。

当院は先進医療の認定施設であり、先進医療の中でも治療の有効性があると考えられる以下の先進医療を導入しております。

※先進医療は、自費診療となります。

※なお、お住まいの自治体(県や市町村)によっては先進医療に対する助成金が出る場合があります。

タイムラプス撮影法による受精卵・胚培養

体外受精において、従来から胚の観察は培養器から取り出して行う方法が一般的です。しかし、胚を培養器から取り出すと、外気と温度変化により胚へのストレスがかかり、悪影響を及ぼす可能性が懸念されます。タイムラプス培養器受精卵観察システムを用いた培養法は培養器に内蔵されたカメラで胚の状態を撮影することにより、培養器から胚を取り出すことなく、胚の動態観察が可能となります。

子宮内細菌叢検査1

従来、子宮内は無菌状態と言われていました。しかし、次世代シークエンサー(new generation sequencer:NGS)を使った新たな検査方法で、子宮内の細菌を同定することが可能になりました。子宮内には様々な細菌が存在しますが、その中でも子宮内膜に炎症を起こして、子宮内の着床環境を乱す細菌が存在します。そのような細菌が存在している場合は胚の着床率が低下する可能性が危惧されます。検査方法は、子宮の内膜を一部採取して、子宮内膜に存在する菌の種類を同定します。治療対象の細菌がいる場合は、適切な抗生物質による除菌治療をした上で、常在菌であるLactobacillus属を増やすサプリメントを使用します。

【推奨例】:体外受精-胚移植治療を受けており、2回以上の胚移植を行っても臨床的妊娠のない反復着床不全症例

膜構造を用いた生理学的精子選択術

精子のDNA損傷が不妊治療成績に影響を与える可能性が報告されています。ZyMotスパムセパレーターを使った新たな精子の選択技術を行う事で、DNA損傷の少ない精子を選択可能となり、治療成績の改善が見込める可能性があります。

【推奨例】:1回以上、顕微授精を実施しても移植可能胚が得られない、または胚移植しても妊娠に至らなかった症例

子宮内膜受容能検査1

反復して着床・妊娠に至らない一部の不妊症患者さんでは、子宮内に胚移植するタイミングのずれが、着床不全の原因となることが示唆されています。実際に胚移植を行うのと同じタイミングに採取した子宮内膜を検体とし、次世代シークエンサーをもちいて子宮内膜に発現する遺伝子を網羅的に解析し、内膜を採取したタイミングが実際の内膜組織の受容期(Receptive)か 非受容期(Non-receptive)かを評価します。また、Non-receptive の際はどのくらい Receptive までに差があるかも評価を行います。検査結果を参考に、子宮内膜が着床を受容する期間に胚移植するタイミングを同期させることで、着床率の向上を目指します。

【推奨例】:体外受精-胚移植治療を受けており、2回以上の胚移植を行っても臨床的妊娠のない反復着床不全症例